訪問看護では、利用者さんやその家族に寄り添って、安心、安楽に在宅生活を送るように支援するため、看護師は、”会話”を通して体調や生活状況の聴取だけでなく、利用者さんやその家族の考えや価値観を理解する必要があります。
しかし、うまく会話しているつもりでも、なかなか利用者さんやその家族と会話が進まない、話しかけにく、といった悩みを持つ訪問看護師さんも多いと思います。
そこで今回は、訪問看護師が行う会話のポイントについて紹介します。
訪問看護師が行う会話のポイントは、以下の5つになります。
1.傾聴
2.自己開示
3.過去と現在を紐づける
4.うなずき
5.待機
それぞれについて以下で解説します。
訪問看護師が利用者さんと会話する時に、もっとも重要になるのは”傾聴”です。
多くの看護師さんは、傾聴=利用者さんの話を最後まで注意深く聞くことであると理解しているのではないでしょうか?
実は、話を聞くだけでは不十分な”傾聴”になっています。
訪問看護師が行う傾聴では、利用者さんの気持ち、思考について語ってもらう必要があります。
つまり、傾聴とは、①話を聞く、②利用者さんの話を掘り下げる質問をする、③利用者さんが話した出来事に対する感情をオウム返しする ①~③の作業を繰り返し行うことが傾聴になります。
利用者さんは、ただ静かに聞いてくれるよりも、自分に興味を持ってくれていること、感情を理解しようとしてくれていることで、看護師への安心感や信頼感を感じ、悩みやニーズ、困り事を相談してくれやすくなると思います。
利用者さんの中には、自分の悩みや不安=弱みであると考え、話すことに遠慮している方、自分の感情や思考を話す機会、経験が少ないために、話さないことが通常になっている方などなど、看護師が傾聴しようにも利用者さんから話し出してくれず、困ってしまうと思います。
そのような場合には、利用者さんの自己開示を促すために、看護師から自己開示して話しかけることも必要です。
訪問看護師が行う自己開示では、自分の趣味や嗜好などのプライベートなことをわざわざ言う必要はなく、看護師の感情や思考を伝えることになります。
例えば、、、
「急に寒くて体がしんどいですね。○○さんは寒さの影響ないですか?」
「今日はいつもより声が大きく感じましたけど、昨日の夜がよく眠れたのですか?」
※訪問看護師の自己開示では、プライベートな情報を話してしまい、利用者さんが傾聴してくれた結果、看護師の評価が下がってしまう場合もあるため、注意が必要です。
訪問看護師が行う会話では、「現在、困っていることはないですか?」、「何かやりたいことはないですか?」のような質問をすることがあると思います。
しかし、上記の質問は、困っている事=現在、やりたいこと=未来に対する質問であるため、答えにくいと言われています。
すべての人間は、過去の出来事が最も話しやすく、過去の事は年を重ねても忘れにくいと言われています。
そのため、利用者さんが望む生活を支援するためには、過去にどのように生活していたかについて具体的に質問していき、その情報をもとに現在は過去と同じようにやりたいのかについて尋ねていくことがスムーズな会話になるポイントです!
会話中のうなずきは、会話を弾ませる起爆剤になります。
うなずきは、利用者さんの話すペースに合わせて行う事が有効です。
反対に、会話中のリアクションであえてやらなくても良いことは、相槌を打つこと、3秒以上のアイコンタクトになります。
「うん、うん」や「はい、はい」、「へえ」などの相槌の多くは、相手の話を妨害しやすいと言われています。
また、相槌を打ちながら話を聞いていて、途中から話を聞かずに相槌を継続して行ってしまうと、相手の話と相槌のタイミングがずれる”偽傾聴”となってしまいます。
この偽傾聴は、始めから話を聞いていなかった場合よりも、相手からの印象を低下させてしまいます。
相手の話を聞く時に、目を見ることは好印象を与えますが、3秒以上のアイコンタクトでは威圧的な印象を与えたり、話をしている利用者さんの緊張を高めてしまうことになります。
また、目を見て話を聞いているとうなずきができないため、会話が盛り上がりくいです。
利用者さんの話を聞く際には、静かにうなずきながら話を聞くことをおススメします!
訪問看護の利用者さんの中には、返答が遅い方がいます。
返答がないため、看護師の先入観を入れたクローズドクエスチョンで聞き直すことや、話が途切れるとすぐに質問攻めすることは、望ましくありません。
※クローズドクエスチョン:「はい」、「いいえ」で答える質問
会話中の沈黙には、覚悟ができていない、考え中、拒否、信頼関係が築けていないなどの様々な意味が存在します。
訪問看護師が行う会話においては、利用者さんから話してもらうことが望ましいため、利用者さんが話し始めるまでしばし待機しましょう。
待機しても話してくれない場合には、信頼関係が築けたと再度思ったタイミングで質問してみたり、利用者さんにとってネガティブな事であると解釈しましょう。
今回は、訪問看護師が行う会話のポイントについて紹介しました。
訪問看護師は、会話を通じて信頼関係を築き、利用者さんやその家族の考えや価値観を理解する必要があります。
そんな重要な会話では、何を話せば、、、質問すれば、、、と難しく考えるのではなく、丁寧に傾聴を行う事が最も重要になります。
それでも会話がうまくいかない利用者さんや家族がいるのは、しょうがいないと思います。
訪問看護での悩みは、仕事の仲間と一緒に語らい、検討しながら業務にあたるのが一番だと思います。
訪問看護ステーション アスエイドでは、スタッフ間が腹を割って話せる関係性をモットーに困ったらすぐに相談する、一人で悩まない職場づくりを行っています。
初めての訪問看護で自信がないという看護師さんでも、是非、アスエイドで一緒に働いてほしいと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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