訪問看護は、1人での判断と看護ケア、寒暖差、利用者さんや家族との関係構築など身体的、精神的に負担が大きいと言われていますが、利用者さんやその家族との関わりの中で「楽しい」と感じることが多々あります。
仕事をしていて「楽しい」と感じることは、やりがいやモチベーションの向上、ストレスの軽減、人間関係の改善など様々な効果があります。
そこで今回は、訪問看護師が楽しいと感じるエピソードを紹介します!
訪問看護師が楽しいと感じるエピソードは、以下の5つが挙げられます。
それぞれについて詳しく紹介します。
訪問看護師は、利用者さんの笑顔が仕事を行う上での励みになり、「やってて良かった」、「また頑張ろう」という気持ちに繋がります。
利用者さんの笑顔が見られる時には、下記のようなエピソードがあります。
①久々の食事を食べた時
利用者さんには、体調不良や嚥下機能の低下により食思不振となっている方、嚥下障害や人工呼吸器の装着により食事摂取で誤嚥リスクが高い方が多々います。
そのような利用者さんが看護師による嚥下体操や口腔周囲筋のマッサージ、食形態の工夫、吸引機の活用などにより、久々に好きな固形物や水分を摂取できた時には、笑顔が見られます。
②不安が軽減できた時
利用者さんには、病気や生活への不安で抑うつ気分となっている方が多々います。
そのような利用者さんが看護師による傾聴や相談を行う事で、薬の管理、食事や水分の量、排便コントロールなどの体調が良くなり、安心感から笑顔が見られます。
一人の利用者さんに対して、きちんと話す、話を聞く時間を取れる訪問看護ならではのエピソードです。
③リハビリの成果が出た時
利用者さんには、長期間自宅で過ごしている方、立つことや歩くことに介助が必要な方など、活動量と範囲が低くなっている方が多々います。
そのような利用者さんが看護師による体操や関節運動、起立・歩行介助などのリハビリをコツコツをやっていった結果、家でのADL動作が改善したり、看護師の時間外に出て散歩することで生活の質が高まることで、笑顔が見られます。
訪問看護師は、アセスメントとケアの達成感だけでなく、利用者さんやその家族とのつながりから得られる喜びや安心感がある、つまり、信頼関係が構築できていることも楽しいと感じます。
信頼関係が構築できたと感じる時には、以下のようなエピソードがあります。
①感謝の言葉を言われた時
初めの頃は、看護師が自宅に来ること、アセスメントやケアを受けることに緊張している、よそよそしい態度となっている利用者さんが多いです。
何度か訪問しているうちに、「いつもありがとう」、「○○さんが来てくれると安心する、うれしい」などの感謝の気持ちを利用者さんやその家族から言われた時には、信頼が生まれてきたと感じられます。
②相談されることが増えた時
利用者さんやその家族から医療に関連することだけでなく、日常生活や将来に関する不安や悩みを相談されるようになると、身近な医療者以上の存在になれた、頼りにされていると感じられます。
③新しい提案を受け入れてもらえた時
訪問看護師は、利用者さんやその家族でできる管理、医療的処置、生活介助などを積極的に伝達、指導を行います。
この時、「利用者さんもその家族も、今までやってきたことないこと=新しい提案」を受け入れてくれた時には、看護師の説明に理解を示してくれている、信頼してもらえていると感じられます。
④訪問看護師を待ち遠しく思ってもらえた時
訪問看護師は、決まった曜日の決まった時間で定期的に訪問するため、利用者さんの生活の一部になっていきます。
この時、利用者さんから「○○さんが来ることが楽しみよ」、「また、来週もよろしくね。待ってるよ」などのように訪問看護師を待ち遠しく思ってもらえている言葉を聞いた時は、信頼してもらえていると感じられます。
また、緊急訪問や代行訪問をした際に、「また来てね」、「次はいつ来てくれる?」のような言葉を聞いた時には、ステーションの信頼度が高く、そこで働いている看護師であるという事で信頼してもらえていると感じることがあります。
訪問看護師は、医学的な知識や技術を活用してアセスメント~ケアまで行い、利用者さんやその家族から感謝された時、状態が改善した時、専門職としての満足感が高まることで、楽しいと感じます。
訪問看護師の知識や技術が役立ったと感じる時には、以下のエピソードがあります。
①緊急対応
訪問看護では、呼吸器系や心血管系、脳神経系、消化器系、感染症、血糖、脱水による急変が起こる機会が多々あります。
この時、訪問看護師がバイタル測定や主な兆候の確認、応急処置、医師への相談、救急車の要請など緊急対応を行い、適切な判断と冷静な対応ができることで、利用者さんの危機を乗り越える手助けができた達成感と満足感が高まり、楽しいと感じます。
②褥瘡ケア
訪問看護師は、ベッド上で多くの時間を生活している利用者さんに対して適宜、褥瘡のアセスメントを行います。
褥瘡の早期発見と適切なケア、体位変換の助言やクッションの提案などの予防をした時には、利用者さんの痛みと感染リスクを軽減できた達成感と満足感が高まり、楽しいと感じます。
③疼痛管理
訪問看護師は慢性疼痛の方や末期がんの方に対して、鎮痛薬の使い方や副作用への対応、点滴で行う場合の管理方法などを指導を行います。
疼痛管理ができることで利用者さんだけでなく、その家族の精神的負担ができるため、訪問看護師の介入により、疼痛改善できた時には楽しいと感じます。
在宅医療では、利用者さんとその家族、主治医、ケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパー、リハビリ、、、などなど、多職種がそれぞれの職域を生かし、一人の利用者さんに関わっていきます。
この時、経験や年齢は関係なく、多職種が対等な関係で報連相したり、意見交換したりしながら、連携していきます。
始めのうちは、連携に対して緊張感がありますが、それぞれの職種同士が敬意を払いながら意見を言ったり、聞いてもらったりできるため、相互のサポートと安心感、コミュニケーションの充実感による楽しさだけでなく、チームとして成功や失敗を共有できる喜びも楽しいと感じます。
訪問看護では、利用者さんの生活全体を見据えた、寄り添った看護ケアを実践するため、在宅医療に特化したケアを新しく学べます。
新しい学びを得ることは、自己成長や達成感、好奇心の満足などにより、楽しいと感じられます。
在宅医療に特化したケアには、以下の6つが挙げられます。
①訪問看護に多い利用者さんへの看護ケア
訪問看護の利用者さんは、医療機器を使用している方、認知症の方、褥瘡リスクが高い方が多く、医療的な処置や管理、専門的な知識に基づいたケアが必要になります。
例えば、在宅酸素療法、吸引器、人工呼吸器、経管栄養など、自宅で使用できる医療機器を使用している利用者さんでは、利用者さんの自宅環境、介護者の状況に合わせた医療機器の管理、トラブル対応が学べます。
また、認知症ケアでは利用者さんへの接し方や混乱時の対応や家族支援、生活ケアを含む全人的なケア、褥瘡ケアでは看護師による医療処置だけでなく、家族や介護師を巻き込んだ褥瘡管理、予防が学べます。
②傾聴力
訪問看護では、利用者さんやその家族との会話の機会、じっくりと会話できる時間があるため、傾聴力が高められます。
そして、病態に応じた看護計画だけでなく、聴取した情報をもとに利用者さんやその家族に寄り添った看護計画を作成できるようになることで達成感を得られます。
③判断力
訪問看護の現場では、病院と違い、限られた資源を最大限に活用し、自宅で可能な範囲のケアや緊急対応を行う、利用者さんやその家族の理念や習慣に合わせたケアを行うなど、臨機応変で柔軟な判断が求められます。
その場で自己判断したり、管理者や主任に相談してすぐに返答することを繰り返し行っていくことで、判断力が鍛えられ、看護師としての自己効力感が高まります。
④指導力
訪問看護では、利用者さんの在宅療養を支えるメンバーの中に、利用者さん自身とその家族が含まれるため、体調や病状の確認、医療機器の操作方法とトラブルシューティング、医療処置や生活ケアについて、訪問看護師が指導を行います。
利用者さんやその家族が理解し、納得できるような指導を行うために、言葉選び、話し方、手本の提示、資料作成などの様々な方法を駆使していきます。
⑤管理能力
訪問看護では、ケアと傾聴の時間配分、自動車移動のルート計画、利用者さんの振替調整、休みのスタッフの代行訪問など様々な管理業務を念頭に入れながら仕事を進めていきます。
⑥情報共有能力
訪問看護では、ステーションのスタッフ間が対面して会話する時間が限られているため、隙間時間での電話やビジネスチャットを活用して報連相を行うことが多いです。
また、利用者さんに関わる多職種と連携する際には、電話や文書を使用し、ビジネスマナーに遵守しつつ、端的に分かりやすい情報共有を行っていきます。
今回は、訪問看護師が楽しいと感じるエピソードを紹介しました。
訪問看護師が楽しいと感じる時は、利用者さんやその家族の喜び、専門性を活かせた時の達成感、人との繋がり、自己成長に直結していることが多いと思います。
慣れるまでは楽しいと感じるよりも緊張による疲れが強いかもしれませんが、やればやるほど楽しく、やりがいにあふれているのが訪問看護です!
最後まで読んでくれたあなたが、少しでも訪問看護に興味を持ってくれると嬉しいです!
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