訪問看護師は、一人で利用者さんの自宅に伺い、看護ケアの提供を行わなければいけません。
実際にあった「怖い」エピソードと対策を知っておくことで、初めて訪問看護で働く看護師さんは、恐怖が軽減できると思います。
そこで今回は、現役の訪問看護師が怖いと感じたエピソードと対策について紹介します。
訪問看護師が怖いと感じたエピソードは、以下の5つが挙げられます。
1. 利用者さんや家族からの暴言
2. 自宅環境の悪さ
3. 悪路
4. 急変時対応
上記に対して、エピソードの詳細と対策について詳しく解説します。
訪問看護の利用者さんや家族は、疾患や障害に対する心配、体調不安定による睡眠不足や食思不振、慢性的な痛みや不快感、経済的不安、認知機能の低下による易怒性、精神疾患の陽性症状、攻撃的な性格、医療者とのトラブルが過去にあるなどの様々な要因により、感情コントロールが難しくなり、訪問看護師に暴言を吐いてしまう方がいます。
利用者さんからの暴言では「今すぐ帰れ」、「プロのくせに何もできないのか」、「こんなことも知らないの?」、「お前のせいで具合が悪くなった」などのように専門性を攻撃したり、一方的に責任を押し付けるような言葉が多いと思います。
利用者さんやその家族からの暴言は、初回と2回目の訪問看護時や担当変更時、看護師の対応に不満を感じた時、看護ケア以外の要求を断った時など、訪問看護師との関係が希薄である場合に生じやすいです。
対策
・説明の徹底
→看護ケアの方針や実施計画を事前に利用者さんやその家族が分かる言葉(専門用語を使う場合は、解説を入れる)で事前に説明と納得を得る。
※訪問看護師が行う説明は、医学的根拠に基づいた客観的な情報でありながらも、利用者さんが「これでいい」と感じられる倫理を含める必要があります。そのため、利用者さんやその家族に、説明を理解してもらおうとするのではなく、説明を納得してもらえるように感情や価値観に訴えかけるような言葉選びがポイントになります!
・傾聴スキルの活用
→利用者さんやその家族の暴言の背景には、不安や怒りがある可能性があります。その場合には、黙々と話を聞くだけでなく、質問を交えながら会話を進めて感情や思考、価値観について聴取できるようにすることで、訪問看護師との関係性が良くなり、暴言の予防になります。
自分の事を分かってくれている、知ってくれていると感じさせる訪問看護師を目指しましょう!
訪問先の自宅環境は、散らかっている、暗い、不衛生、床がもろい、寒い、暑いなどの劣悪である、攻撃的な犬がいる、など劣悪である場合があります。
上記の場合には、訪問看護師自身が体調を崩してしまう、安全に看護ケアが難しい、犬による攻撃でケガをしてしまう、などの恐怖を感じると思います。
一般的に自宅環境がひどく悪い場合は、訪問看護師が訪問できる状態になるまでサービス提供を行いません。
・訪問前の準備
環境が悪い場合は、スリッパや替えの靴下、エプロン、ペンライト、タオル、上着、マスクの予備など環境に適応するための物品を準備しておくと良いです。
・犬の心理を理解する
犬が攻撃をしてくる時は、人間への不安や攻撃性を感じている以下のサインを見せることがあります。
①耳を後ろに倒す
②歯をむき出しにする
③しっぽを下げて体を固くする、直視してくる
上記のサインが見られた場合には、なるべく近づかないことが重要です。
訪問看護師は、事業所から半径5km程度の距離にある利用者さんの自宅に軽自動車で伺います。
利用者さんの自宅は、細い道、通学路、街灯が少ない道、繁華街の近くなど悪路であることがあります。
日中の明るい時間であったり、時間に余裕がある場合は、悪路であっても冷静な運転ができると思いますが、訪問看護の業務特性上、緊急時の訪問があったり、夜間に訪問しなければいけないことが多々あります。
・訪問前の情報収集
自宅周辺で悪路がある場合は、すべての看護師が情報共有できるツールの作成と共有する、オンコール対応する看護師は同行訪問を行っておくことが対策になります。
その他では万が一、悪路で交通事故を起こした場合、事故対処の方法を把握しておきましょう!
訪問看護は、そばに医師や同僚がいないために1人で観察・判断をしなければいけない、自宅環境にある物品が限られているなどの理由から、病院で働いていた時にできていた急変時対応に対して「恐怖」を感じてしまう方が多くいます。
訪問看護ステーションにおける急変時対応の発生頻度は、1人の看護師あたり、月に0~3回とされています。
実際に経験する急変時対応は、訪問すると転倒しており体動困難になっていることや呼吸困難を起こしたりすること、心停止していること、看護ケア中に利用者さんが急に意識を失うことが挙げられます。
この急変は、心血管や呼吸器など疾患の進行や薬の副作用だけでなく、利用者さんの免疫の低下、低栄養や脱水、自宅での転倒、熱中症などが原因となることもあるため、訪問看護師による包括的な評価と対応が必要になります。
・情報共有
訪問前に利用者さんの病状やリスク、急変時の対応方法や手順を把握しておきましょう。
例えば、利用者さんが心停止しており、主治医が往診医である場合、真っ先に医師に電話連絡し、緊急往診を依頼します。
万が一、救急車を呼んでしまい、救急隊が心停止を確認してしまうと警察介入となってします。
・連絡体制
事業所の管理者や主任など、訪問中の看護師が対応にこまってしまった、判断に迷ってしまったなどの時に電話で報連相ができる体制を整えておきましょう!
また、急変の可能性が高い利用者さんへの看護ケアは、積極的に同行訪問を行うことも良いです。
今回は、現役の訪問看護師が怖いと感じたエピソードと対策について紹介しました。
訪問看護師が「恐怖」を感じる場合、経験だけでは対処できないことも多々、あります。
そのため、多くの訪問看護ステーションでは、看護スタッフの余裕のある人員配置やスケジューリングを行い、予定していたサービス提供時間を超過しても問題が生じない、次の訪問を代わりの看護師に代行できる準備を行っています。
訪問看護師は一人で悩まず、自分を過信せず、訪問看護ステーションがチームとして利用者さんへの看護ケアを提供できるようにしていければ、それぞれの看護師が「恐怖」を感じながらも楽しく仕事ができると思います!
最期まで読んできただき、ありがとうございました。
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初めての訪問看護で自信がないという看護師さん、訪問看護経験者でスキルアップしたい看護師さんは、是非、アスエイドで一緒に働いてほしいと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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