訪問看護とは、病気や障害をある人が安心・安楽に自宅で療養生活を送れるように、看護師等が医師の指示書のもとに看護ケアを提供し、生活支援を行うサービスです。
今回は訪問看護の基本であり、すべての利用者さんを対象に必ず行う”病状の観察”について紹介します!
自宅の生活では、病院のように24時間いつでも看護師や医師が病状を確認・対応することが難しいため、訪問看護の1時間程度で利用者さんの病状を観察したり、利用者さんを介護している家族から情報取集しながら、看護ケアの内容を考えてたり、異常の早期発見を行います。
そのため、訪問看護における”病状の観察”はケアの基本になります!
病状の観察は、大きく下記の3つに分けられます。
意識レベル、体温、血圧、脈拍、呼吸速度、痰、息苦しさ、めまい、動悸などを観察します。
食事や水分などの栄養、睡眠、皮膚や爪、表情やしぐさ、話し方などを観察します。
利用者さんの疾患に応じて、医学的管理を必要とする心身の状態を観察します。
例えば、パーキンソン病の利用者さんの場合、身体が動きにくくなる時間帯の確認、不随意運動の有無、すくみ足の有無、便秘などを観察します。
がんの利用者さんの場合、倦怠感、痛みの部位と程度、薬の副作用の確認、筋力低下、せん妄などの観察を行います。
ある末期がんの利用者さんの病状観察を簡単に紹介します。
この利用者さんは意識レベルが低く、食事や会話が難しかったため、看護師ががんの状態を観察しながら点滴による栄養、水分の補給を行っていました。
点滴を行う前には、看護師が利用者さんの手を握り、点滴をしたいかどうかを語り掛け、握り返したら「YES」、反応がなければ「NO」として意思疎通を図っていました。
看護師が病状を観察することで、最期まで利用者さんの意思を尊重したケアを行うことができました。
あるパーキンソン病の利用者さんの病状観察を簡単に紹介します。
この利用者さんは、パーキンソン病のウェアリング・オフ現象(薬を飲んでも体が動きにくい状態が多くなること)と便秘に悩まれていました。
ある訪問看護の時、体の動きがいつにもよりも悪くなっており、バイタルサインと薬の内服状況、食事や水分などの栄養状態に関する観察を行いました。
すると、本人が便秘解消のために、「先週から牛乳をたくさん飲み始めた。」、「水の代わりに飲んだり、薬を飲むときにも牛乳にしている」ということが分かりました。
抗パーキンソン病薬は、牛乳と一緒に摂取してしまうと薬の吸収が阻害されてしまいます。
看護師が病状を観察していたことで、抗パーキンソン病薬を水で内服するようにしたところ、体の動きにくさは改善できました。
訪問看護の内容から、全利用者さんを対象に必ず行う”病状の観察”について紹介しました。
訪問看護は、在宅療養するための身近な”医療”になります。
どんな疾患、どんな病状の方であっても、週に1回程度、看護師が訪問し病状を観察することは、利用者さんとその家族が安心して過ごす手助けになると思います!