精神疾患への訪問看護は、看護師や作業療法士が自宅、もしくは施設に訪問して症状や悩み、生活での困り事に合わせて看護ケアやリハビリを受けるサービスになります。
今回は、通常の訪問看護との違いと精神疾患への訪問看護の内容について紹介します!
精神疾患への訪問看護は、通常の訪問看護との違いが大きく2つあります。
1.精神疾患への訪問看護ができるスタッフが限定的
2.指示書を書ける医師が限定的
それぞれについて解説します。
精神疾患への訪問看護ができるスタッフは、通常の訪問看護と違い、特定の看護師や作業療法しか行うことができません。
精神疾患への訪問看護ができる看護師や作業療法士は、精神疾患への訪問看護ができる者とは、精神病棟または精神科外来の勤務、精神保健センターや保健所での経験が1年以上、精神科訪問看護の算定研修を修了している必要があります。
理学療法士による精神疾患への訪問看護を行うことは原則行うことができません。
精神疾患への訪問看護では、”精神科を担当する医師のみ書くことができる”精神科訪問看護指示書”を発行してもらいます。
そのため、うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神科医師のみが診断できる疾患名の利用者さんが対象になります。
通常の訪問看護指示書の場合、内科でも整形外科でも耳鼻科でも利用者さんのかかりつけ医であれば、書くことができます。
精神疾患への訪問看護は、以下の5つが挙げられます。
1.体調確認
2.生活ケアの提供
3.服薬管理
4.傾聴
5.緊急時対応
それぞれについて、解説します。
精神的要因で体調を崩すこともあれば、体調を崩すことで精神症状が増悪することもあり、心と体は相互に影響し合っています。
そこで、精神疾患の訪問看護では、食事や睡眠、疲労感、身体痛などの体調確認を行い、安定して生活を送れるように相談に乗ったり、アドバイスをします。
精神疾患の訪問看護では、精神的なケアだけでなく、通常の訪問看護と同様に日常生活ケアを行います。
日常生活ケアでは、食事や入浴などのケアを行い、自立した生活をサポートします。
精神疾患では、6か月以上の長い期間の薬物療法を行いますが、効果の実感が少なかったり、精神状態が安定したと自己判断して内服中断してしまう利用者さんがいます。
そこで、精神疾患の訪問看護では、内服の遵守を確認しつつ、副作用や薬物の相互作用の評価を行います。
また、利用者さんの精神症状と薬物療法による反応を客観的にモニタリングし、精神科医と連携を図っていきます。
精神疾患の利用者さんは、ストレス過多にならずに、精神の安定=心の健康を保つことが安楽に生活できる秘訣であると思います。
精神の安定=心の健康とは、自分の感情を表現できたり、状況に応じて自分で問題解決を考えられたり、他人との関係性を構築できたりすることで保たれると言われています。
つまり、自分一人の殻に閉じこもってしまうと、心は疲弊し、元気がなくなってしまうのです。
そこで、精神疾患の訪問看護では、利用者さんの想いや思考、感情を表出しやすいように何気ない会話で傾聴を行っていきます。
精神疾患の利用者さんは、発熱や転倒などの身体的な緊急事態だけでなく、精神症状の増悪、気分の落ち込みなどの精神的な緊急事態が生じた時にも、電話や訪問による対応を行います。
精神的な緊急事態は、利用者さんによって異なるため、どのような精神症状や気分になった時には訪問看護師に電話するかについて、事前に利用者さんと話し合って決めておくことが望ましいです。
今回は、通常の訪問看護との違いと精神疾患への訪問看護の内容について紹介しました。
通常の訪問看護との違いは制度上の違いがある程度で、看護ケアの内容は精神疾患の病態と特性を考慮して看護ケアを実施していくだけで、通常の訪問看護の業務と大きな違いはありません。
訪問看護ステーション アスエイドでは、看護師と作業療法士に精神科訪問看護の算定研修を受けてもらっています。
実際の利用者さんに対しては、相談しながら精神疾患の訪問看護を行っているので、初めての訪問看護の方でも安心して働けると思います。
訪問看護に興味がある方は、気軽に連絡くださいね~