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訪問看護師が知っておくべき高齢者の栄養管理について紹介します!

2024年7月19日

訪問看護師の利用者さんの多くは、高齢かつ複数の慢性疾患を持っているため、病状の観察と併せて栄養管理が必要になります。

先日、エンシュアやグルセルナなどの栄養剤製品で有名なアボットジャパン合同会社の方より、「高齢者の栄養管理」をテーマに勉強会をしてもらいました。

そこで今回は、勉強会から得た知識に基づき、在宅でも取り入れやすい高齢者の栄養管理について紹介します。

訪問看護師が知っておくべき高齢者の栄養管理

訪問看護師が知っておくべき高齢者の栄養管理は、以下の7項目を理解しておくと良いです。

1.高齢者の身体機能の特徴

2.体に必要なたんぱく質の摂取

3.食事摂取量が不足したときの対処方法

4.栄養補助食品・栄養補助製剤の活用

5.栄養補助製剤の摂取するときのポイント

6.栄養補助製剤のアレンジレシピ

7.脱水、熱中症予防について

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

1.高齢者の身体機能の特徴

高齢者の特徴として加齢により様々な身体的変化が起こります。

それらによって食事摂取への影響も出てきます。

例えば歯の喪失噛む力の低下消化吸収能力の低下などがあります。

喉の渇きを感じにくく、水分摂取が進まなかったり精神面の不安定さから食欲が低下することもあります。

また認知機能低下や疾患の後遺症などで食事を自分で摂取できなくなることもあります。

栄養摂取量が不足すると痩せてしまったり「サルコペニア(加齢による筋肉量の減少および筋力の低下)」や「フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)」の要因となりえます。

このような状態に陥ってしまうと家族や他者の支援が必要な状態となってしまいます。

一方で栄養の過剰摂取は、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームなどへの影響もあり、新たな疾患への要因になることがあります。

日々の食事がとても重要になってきます。

2.体に必要なたんぱく質の摂取

加齢に伴い水分摂取量やたんぱく質摂取量が低下しやすくなります。

特にたんぱく質は体を作る素となるもので、他にも免疫機能を担っているものもありとても大切な栄養素です。

今回はタンパク質の摂取に注目してみます。

実は高齢者であっても必要摂取量は69歳以下の成人摂取量と同程度と言われています。

具体的な目安としては男性で50~60g/日、女性で40~50g/日となっています。

食事として摂取するとなるとちょっと大変かもしれませんね。

高齢者によくみられる食事の例として

朝:粥またはご飯、サラダ

昼:うどん、果物

夕:粥またはご飯、味噌汁、野菜炒めなどのメニューを良く耳にします。

この例を実際にみてみると一日の摂取エネルギーは約40%不足しており、たんぱく質はなんと70%も不足していることがわかります。

よく食卓に並ぶ食品のたんぱく質量を見てみましょう。

目玉焼き・・7.9g

鮭一切れ・・17.8g、納豆1パック・・6.6g

好みや嚥下機能、習慣などを考慮しながら食品を組み合わせて摂取するのが良いでしょう。

今回はたんぱく質に注目してみましたが、他の栄養素もバランス良く摂取できるように献立の見直しもしてみましょう。

3.食事摂取量が不足したときの対処方法

最近はドラッグストアやスーパーの健康食品コーナーなどで様々な栄養補助食品が販売されています。

この栄養補助食品は食事摂取量が不足したときだけでなく、高齢者や周産期、急性疾患、慢性疾患の合併症発生を抑えるという有用性も報告されているそうです。

種類も様々でドリンクタイプやゼリータイプ、粉末状になったものなどバリエーションも色々あります。

うまく取り入れることで栄養と水分が一緒に摂取できる優れモノです。

私たち訪問看護でも栄養が不足しているにも関わらず、なかなか食事が進まない利用者さんにはこういった栄養補助食品の提案をすることがあります。

またその方の生活習慣や嗜好、介護の様子など全体的にアセスメントして適した栄養指導を行うこともあります。

主治医の先生とも状態について共有し、必要に応じて医薬品として処方される栄養補助製剤を使用することもあります。

4.栄養補助食品・栄養補助製剤の活用

よく目にするものにエンシュアという製品があります。

エンシュアには「エンシュア」と「エンシュアH」という製品があり、それぞれ含まれる栄養量やカロリーが異なります。

エンシュアは缶に入ったドリンクタイプの栄養補助製剤です。

もしかしたら既に使用したことがある方、扱ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

味の種類は豊富で、バニラ味・コーヒー味・バナナ味・ストロベリー味などがあります。

ちなみに高齢者に人気の味はバニラ味とコーヒー味だそうです。

フレーバーは果汁ではないのでバナナやイチゴでアレルギーがある方も安心して飲むことができます。

エンシュアH1缶には250ml入っており、エネルギーは375kcal、たんぱく質13.2gが含まれています。

5.栄養補助製剤の摂取するときのポイント

エンシュアは日々の食事にプラスして摂取することでたんぱく質をはじめとしたバランスの良い食事に整えることができます。

飲み方にはポイントがあるってご存じですか?

ポイントは「ちょこっとずつ」です。

一度に1缶すべて摂取するとなるととても大変です。

人によってはそれだけでお腹がいっぱいになって食事が入らなくなってしまうこともあります。

例えば、2~3口で飲める50ml程度を5回に分けて飲んでみてはどうでしょう。

食事のタイミングと、食間のおやつ時間に分けてみると摂りやすいです。

人によっては便が緩くなってしまうことがあるので、初めは少しずつ飲み始めてみることをお勧めします。

缶のプルトップを開けるのが苦手な人がいるかもしれませんが、専用のオープナーがあるので活用してみてください。

専用オープナーは蓋にもなるので、飲みかけの缶につけることができます。

6.栄養補助製剤のアレンジレシピ

栄養補助製剤は甘く、人によっては苦手な方もいます。

そこで栄養補助製剤を使用したアレンジレシピをいくつかご紹介します。

パン粥

〈材料〉

食パンやロールパンなど

栄養補助製剤(バニラ味)

〈作り方〉

1.食パンまたはロールパンと栄養補助製剤をミキサーに入れてかくはんする。

2.トロミの付き具合は栄養補助製剤の量などで調整できます。

3.飲み込みやすい硬さに作ってみてください。

栄養補助製剤の味を変えてみても美味しく食べられます。

ベリーヨーグルトスムージー

〈材料〉一人前

栄養補助製剤(バニラ味)125cc

冷凍ベリーミックス 50g

ヨーグルト 30g

〈作り方〉

1.栄養補助製剤は冷蔵庫で冷やしておく。

2.材料すべてミキサーに入れて1分以上かくはんする。

3.グラスにあけて完成!

フレンチトースト

〈材料〉一人前

食パン6枚切り 1枚

卵 1個

栄養補助製剤(お好みの味でOK) 100㏄

牛乳 50cc

油(マーガリン) 小さじ1

〈作り方〉

1.食パンは食べやすい大きさに切る。

2.卵をボウルに割入れ、良くかき混ぜる。

3.栄養補助製剤と牛乳を入れてさらにかき混ぜる。

4.3に食パンを入れ、両面10分ほど浸して卵液をしみこませる。

5.フライパンに油を熱し、4を片面焼く。

6.裏返して蓋をして1~2分焼く。

お好みでジャムやシロップをかけて出来上がり!

アレンジレシピはレシピサイトにも色々掲載されているので参考にしてみてください。

エンシュアは医薬品として扱われているため、医師の処方箋がないと手に入れることはできません。

しかし処方薬としての取り扱いのため、1缶22.8円(1割負担の場合)と経済的にも優しいです。

また医薬品のため研究を重ねており、副反応が見られた場合にも過去のデータから対処方法を抽出できるというメリットもあります。

もし食事摂取量がとても減ってきてしまったと不安な方は主治医の先生に一度相談してみることをお勧めします。

私たち訪問看護師へご相談いただければ、栄養状態の評価や取り入れやすい食事の提案、場合によっては主治医の先生へ状態の詳細を報告して適した栄養摂取方法をアドバイスさせていただきます。

7.脱水、熱中症予防

この時期は外に出ると気温は高く、家の中にいても暑い日が続いています。

「脱水症状」「熱中症」という言葉を聞いたことある人も多いかもしれません。

脱水は体のなかの水分が不足するだけでなく、塩分など必要な電解質も一緒に失われることをいいます。

熱中症とは高温多湿な環境に長時間いることで体温調節がうまくいかず体のなかに熱がこもった状態をいいます。

水分摂取量の目安は「食事+飲み物」で約2リットルと言われています。

飲み物からは約1リットル摂取できるよう心掛けましょう。

紅茶や緑茶にはカフェインが含まれています。

カフェインには利尿作用があるため必要な水分も排出させてしまう作用があります。

お茶類でもほうじ茶や麦茶などはカフェインを含まないためおすすめします。

また市販のスポーツドリンクを取り入れている方も多いかもしれません。

脱水改善の助けになる経口補水液は自宅でも作ることができるんです。

【作り方】

水 1000ml

砂糖 大さじ4と1/2(糖分を控えたい人は量を調節してみてください)

塩 小さじ1/2

お好みでレモン少々

他にも色々なレシピがあり、レシピサイトなどにも掲載されているものも多くありますので参考にしてみてください。

まとめ

今回は、在宅でも取り入れやすい高齢者の栄養管理について紹介しました。

高齢者は、摂食嚥下、消化、口腔の感覚などなど、様々な加齢変化により、栄養不十分になりやすい傾向があります。

訪問看護師が関わることで、利用者さん自身の栄養に関する関心を高めたり、行動変容を促すことで、安心、安楽な在宅生活を継続できると思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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