訪問看護ステーションは、基本的に居宅以外でのサービス提供を想定していないため、基本的に自宅内でのリハビリテーションを行います。
しかし、利用者さんの中には外出を目標(ケアプラン)としている方がおり、自宅周辺を屋外歩行することがあります。
そこで今回は、訪問看護が行う屋外歩行の概要と注意点を紹介します!
1.目的
・屋外での歩行機能、心肺機能の維持・向上を図り、日常生活の自立を支援する。
・社会参加の促進(買い物や美容院、友人に会うなど)
2.対象者
高齢者や脳卒中後遺症、パーキンソン病、骨折後などの利用者さんの中で、自宅内の歩行が概ね自立しているが、屋外歩行に適した体力やバランス能力の低下がある方。
3.実施場所
・自宅周辺の安全な道路、庭、マンションの外廊下、公園など歩行訓練が安全に行える場所
・利用者さんの歩行が安定してきた場合(後方から見守りで歩けるレベル)は、日常的に使用する道路
・ベンチや石段などの座って休憩できる場所があることが望ましい。
4.方法
・屋外歩行の出発前に、実施場所とルート、距離について利用者さんと一緒に話し合う。
・屋外歩行を行う際には、基本的に利用者さんの側方から見守りや介助を行い、転倒予防に努める。
砂利道や凸凹道などの不整地、歩道が狭い、車の通行量が多いなどの場所は、転倒リスクとなりやすい。
利用者さんのバランス機能が低い場合には、屋外歩行を行っても短距離で済ませるか、もしくは適宜休憩を挟む。
※バランス機能低下とは、2ステップテストが1未満、タンデム立位保持困難、歩行時痛が強い、支持物なしでの立ち上がり困難、立ち止まらなければ方向転換ができない、などに該当する利用者さんは転倒リスクが高い。
2ステップテストのやり方はこちらを参照!
※屋外歩行中に休憩をした方が良い利用者さんの場合、椅子付きの歩行器やシルバーカーを使用することを検討する。
雨天や風が強い日、猛暑日には屋外歩行を控える。
小雨で傘を差して歩行練習を行う場合には、必ず側方から見守りと介助を行い、スタッフは雨具を着用することが望ましい。
基本的には利用者さんの自覚的な快適速度、無理のないペースで屋外歩行を行い、疲れた場合には休憩をとる。
また、心臓や呼吸器に問題がある利用者さんの場合は、屋外歩行を行う前に、主治医より運動中止基準を確認しておく、必要な薬剤や医療器具を用意するなどの工夫が必要である。
屋外歩行に慣れてきて、歩行の安定性、耐久性の向上を図る場合には、カルボーネン法を用いた運動強度(50~70%)や転倒リスクが低くなる歩行速度(分速60m~90m)、歩行率(100~120歩/分)の設定を行うため、体調変化が生じる可能性がある。
※カルボーネン法を用いた運動強度の計算は、このサイトを参照!
安全にリハビリテーション=屋外歩行を行うためには、以下の日本リハビリテーション医学会の基準を評価しながら行う。
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現 した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇 した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化
3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻 らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合
4. その他の注意が必要な場合
[1] 血尿の出現
[2] 喀痰量が増加している場合
[3] 体重増加している場合
[4] 倦怠感がある場合
[5] 食欲不振時・空腹時
[6] 下肢の浮腫が増加している場合
今回は、訪問看護が行う屋外歩行の概要と注意点を紹介しました。
訪問看護が行う屋外歩行では、日常生活の自立だけでなく、社会参加の促しにも繋がる有意義な支援になります。
訪問看護が屋外歩行を行う事で利用者さんが明るく元気になる印象があります。
医師の許可とケアプランへの記載が必須ですが、必要に応じて訪問看護から積極的に利用者さんや家族、ケアマネジャーに促していければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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