訪問看護で行う業務は、以下のようなものです。
1.病状の観察
2.清潔ケア
3.食事や排泄の援助
4.褥瘡の処置やその予防
5.カテーテルの管理
6.医療機器や点滴の管理
7.リハビリテーション
8.生活指導
9.ターミナルケア(在宅での看取り)
10.家族への介護指導・相談
11.緊急時対応
12.他職種連携
このように、訪問看護は、病院の看護師と同じことができます。
では、それぞれの内容について詳しく解説していきます。
定期的な訪問で体温や脈拍、血圧等の数値を測定し、お体の状態を継続的に確認します。
症状の程度を観察し病状の改善が見られるか、または悪化がないか確認をします。
状態によっては、主治医やケアマネージャーさんへ報告をします。
清潔ケアのなかには様々な援助が含まれます。
ご自身で入浴ができない方の場合は入浴介助をします。
この場合はご自宅の浴室を使用して、介助で入浴していただくことができます。
環境面やご本人の体調によっては入浴が難しい方もいらっしゃいます。
その場合は、温かいタオルで体を拭いたり(清拭)、お湯に足や手をつけて洗う(足浴、手浴など)方法もあります。
起き上がることが難しい方や、医療機器などを装着している方の場合でも清拭や足浴、洗髪といったケアは可能です。
看護師の業務の中には「日常生活の援助」があります。
これは疾患や障害を抱えている方、治療を受けている方がなるべく今までと同じように食事が摂れたり、からだを清潔に保てるように援助するという意味があります。
私たちはそれぞれのケースにあわせて専門的かつ医療的な知識をもとに援助をします。
食事に関する援助では、病状により自身で摂取ができなくなってしまった方に、原因を明らかにして食事が食べられるようにケアを行います。
排泄に関する援助では、便秘や下痢といった不調を整えられるようなケアから、排泄行動へのアプローチなど多岐にわたります。
今までご自身で内服薬を管理できていた方が、病気や障害により難しくなった場合には看護師による内服管理が可能です。
どのように内服しているか、適切な服用ができているかを確認し、きちんと飲めるような工夫をご提案します。
また残薬がたくさんある場合は、主治医や薬剤師とも連携をとり整理することもできます。
内服薬に限らず、貼付薬や外用薬の管理も行います。
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在宅療養される方のなかに、褥瘡がある方も多くいらっしゃいます。
褥瘡の状態によって処置方法も異なり、医師とも連携しながらケアを行います。
褥瘡は処置だけで改善するものではなく、実は全身管理も非常に大切になってきます。
皮膚の観察や保清、栄養状態の改善やリハビリテーション、寝具や寝衣の選択、家族指導などがあげられます。
訪問時には処置と合わせてその方に必要なケアを行い、褥瘡の治癒や悪化予防を図っていきます。
褥瘡は発生しないような予防看護も大切になります。
褥瘡リスク因子を明らかにして発生を予防します。
カテーテルを入れた状態でも、ご自宅で生活される方がいらっしゃいます。
カテーテルには様々な種類があります。
尿を出すためのカテーテルや、体の中の不要な体液などを外へ排出するものなどです。
ご自身やご家族で管理が可能な方もいらっしゃいますが、カテーテルのトラブル(閉塞や誤って抜けてしまうなど)が生じることもあります。
訪問看護ではカテーテルが入っていても安全に過ごせるような日々の管理に加えて、そういったトラブルが発生した際に医師の指示のもと、一時的な処置を行うことが可能です。
たとえば、在宅酸素をご使用の方は酸素機器の確認や、正しい流量を使用できているかの確認、状態変化時には主治医へ報告をして流量の調整などを行います。
またご自宅で点滴する方もいらっしゃいます。
その場合は医師の指示により点滴の実施や、それによる体調の変化について観察します。
他には、人工呼吸器を装着している方に訪問することがあります。
呼吸器は精密機械ですので、機器の管理や適切な使用を確認していきます。
また全身状態を観察し、状態変化時には医師とも連携を図ります。
訪問看護では看護師によるリハビリも実施しています。
リハビリというと理学療法士や作業療法士の仕事と思われがちですが、実は看護師もリハビリを実施することができます。
簡単に言うと、「在宅療養を継続するために持っている力を発揮させること、安全安楽に生活ができるよう機能を維持(向上)すること」が大きな目的です。
基本動作である立ち座りや起き上がり、歩行といった動作の訓練や、排泄・入浴など生活動作が安全に行えるような訓練を実施します。
また、廃用症候群や拘縮のある方にはそれ以上悪化させないようリハビリを行います。
リハビリの実施に加えて、状態を見極めながら社会参加や地域コミュニティ、通所サービスなどへつないでいくこともあります。
病状を悪化させないために、また現在の状態を維持するために必要な指導を行います。
例えば生活習慣病は食事や運動、喫煙などが大きく影響します。
その方の生活状況や環境に合わせて指導を行うことで、良い健康管理行動につなげ病状の悪化を防ぐことができるよう指導を行います。
訪問看護はご自宅へ訪問するため、生活状況をとらえやすく、より個別性のある指導が可能です。
近年、人生の最期をご自宅で過ごしたいという方が増えており、それに伴いご自宅での看取りも増えています。
最期はどのように過ごしたいか、誰と過ごしたいか、どのようなケアを希望するかなど話し合いながらケアを進めていきます。
医師をはじめとし、ケアマネージャーや他職種とも連携を図り、痛みや苦痛症状をコントロールしながら時にはやりたいことを一緒に叶えられるよう支援します。
また、最期に向けた意思決定支援も看護師の大切な役割です。
入院や病状の変化によって、今までと身体的・精神的に状態が変わることがあります。
例えば、歩行できていた人が車椅子で移動しなければならなくなったり、食事や排泄に介助が必要になったりすることがあります。
また精神的に不安定になることが増えたり、物忘れがひどくなり誰かが声掛けや誘導してくれないと行動できないことが出てくることもあります。
ご家族もその状態を目の当たりにして不安になったり、どう関わってよいかわからないことも出てくると思います。
そのような場合には、現在の状態に合わせた具体的な介護の方法や不安に思っていることを聴き、解決に向けてサポートします。
訪問看護ではステーションによって24時間365日対応してくれるところがあります。
アスエイドも緊急時の対応ができるよう、体制を整えています。
介護保険では訪問看護サービスに緊急の連絡や相談、緊急時の訪問依頼に対応できるよう「緊急時訪問看護加算」というオプションのようなサービスをつけることができます。
これをつけることにより、夜間や休日に急な状態の変化や困りごとが発生したときに看護師に相談できたり、状態によっては緊急で訪問することができます。
退院後間もなく状態が変化しやすい時期や、高齢で今後どのような変化が起こるかわからず不安がある、医療機器をつけて療養をするなかで機器トラブルが生じたときなどに看護師による対応が可能となります。
医療保険で訪問看護をご利用の際にも「24時間対応体制加算」という加算をつけることで、同様のサービスを受けられます。
急に体調が悪くなったり、どう対処して良いかわからないときなど、直接看護師と相談できたり様子を見に来てもらえるため安心につながりますね。
在宅では病院とは異なり、医療スタッフである医師や薬剤師、検査技師などが外部の事業所となります。
また、生活を支えるケアマネージャーや介護スタッフも他事業所となることが多いです。
状態が変化したときには利用者さんを取り巻く他職種チームで情報を共有しながら、問題を解決していきます。
利用者さんの在宅療養を支えるときに、医療者だけでは問題解決は難しいため、医療・介護・地域など取り巻く支援者と連携を図っていきます。
私たちはこの連携をとても大切にしています。
一人の利用者さんのためにチームを作り、より良い在宅療養が継続できるよう支援しています。
訪問看護がどのようなサービスを行っているか、まだなかなか知られていないことが多いようです。
「どんなことができますか」と聞かれたときには「病院の看護師さんをイメージしてください。同じケアができます」とお答えしています。
ここに挙げた項目以外にも個別のケースに合わせて行えるケアがあります。
「こんなことを看護師に頼んでも良いのだろうか」と迷ったときは是非ご相談ください。